英語短歌(376) |
他の人と比べぬことが幸せになるには最も大切と知りぬ
I have learned that
the more important condition
for becoming happy
is not to compare oneself
with others
--Yukiko Inoue-Smith
自分を他人と比べることほど愚かなことはない、とわかっていても、比べてしまうのが人の常。比べては嘆く。隣家の芝生はわが家の芝生より青い。つまり、ないものねだりに苦しみことになる。他人と比較しないことが生きる為の鉄則である。
英語短歌(377) |
宝ものは胸に溢るるあなたの言葉とあなたと見たる夕焼けの色
a treasure box
in my heart holds
your thoughtful words
and the beautiful sunset
I saw with you
--Yukiko Inoue-Smith
私は宝石類を持たない、というより持つだけの金銭的または心の余裕がない。が、こころのなかには宝物を入れておく箱をもっている。写真と撮るのも撮られるのも嫌いな私はアルバムもむろん持たない。従って一緒に撮った写真はないけれど、私だけのこころの玉手箱には収めてある。ときどき取り出しては眺める。
英語短歌(378) |
「植ゑられし地にて花ひらく」ヒラリーの引用うべなふ外つ国に生きて
bloom in the place
where you are planted:
these words quoted by Hillary Clinton
seem spoken for me,
far away from my motherland
--Yukiko Inoue-Smith
ヒラリー・クリントンが植えられてところで花ひらくと引用したのに共感した。ヒラリーほどの知名度のある女性が言うから重みを増す言葉ではあるが、異国(すなわち植えられて地)にあってささやかな日常を築いてきた私にしてもその気構えで生きてきた。
英語短歌(379) |
体重を維持するごとくある程度のしあはせをみな維持したがるも
like maintaining
our own weight, we wish
for maintaining
a certain degree of happiness
for ourselves
--Yukiko Inoue-Smith
幸せとは猫に似て、一心に呼び寄せようとしても来ないが、猫を忘れて、自分の仕事に精出していると、いつの間にか幸せな自分を発見する(猫が自分の膝にのっている)といわれる。一定の体重を維持するのは至難の業、よって普段の心がけが大切である。
英語短歌(380) |
雑踏にまぎるるほどに孤独さの増しくるものといつよりか知りぬ
when did I first
learn this?
the more I disappear
into crowds the more
loneliness I feel
--Yukiko Inoue-Smith
「淋しいから誰かと一緒にいたい、という気持ちを卒業できたときに、ひとりの時間の貴重さを味わえるようになるのだ」(『ひとりの時間を楽しむ本』、吉元由美著)。
全くその通りと思う。私は孤独に慣れてはいるが、多くの人でこみあう都会の雑踏に紛れるほどに孤独が増すのを感じる。